ブレイク・ライブリーのキャリアにおける最大の転換点となったのが、コリーン・フーヴァーのベストセラー小説を実写化した主演兼製作映画『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』(2024年公開)です。本作は製作費約2,500万ドルに対し、全世界興行収入が3億4,000万ドル(約500億円超)を突破するメガヒットを記録しました。しかし、この歴史的成功の裏側で、異例とも言えるバッシングが巻き起こることになります。
騒動の発端となったのは、作品が扱う「家庭内暴力(DV)」という極めて重いテーマと、ブレイク・ライブリーが行った華やかなプロモーション方針とのギャップでした。映画公開時期が彼女自身のヘアケアブランド「Blake Brown」のローンチと重なったことや、インタビューで「花柄の服を着て友達と一緒に劇場へ来て」と呼びかけたことが、深刻な題材を軽視しているのではないかという批判を呼びました。
さらに、監督兼共演者のジャスティン・バルドーニとのクリエイティブ面での対立が米主要メディアで報じられたことで、火に油を注ぐ形となりました。プレミア試写会で両者が同席しなかった点や、SNS上でキャスト陣が監督をフォローしていなかった事実がファンによって特定され、憶測が瞬く間に拡散。これに連動するように、2016年の過去インタビューで記者の妊娠祝いに対して皮肉混じりに返答した映像などがTikTokなどで再発掘され、「意地悪なセレブ」というレッテル貼りが急速に進みました。
しかし、映画関係者の証言や公式な制作経緯を精査すると、現場での彼女の姿勢には別の側面が浮かび上がります。ブレイクは製作陣に対し、被害者支援団体のホットライン情報をエンドロールに明記することを強く要求し、実際に複数のシェルターへ寄付を行っていました。映画を重苦しいトラウマ描写だけに閉じ込めるのではなく、「困難から立ち直る女性の再生の物語」として広く届けるための商業的演出が、SNSの断片的な切り取りによって歪められて伝わった側面は否めません。