アニメ初期において、吉田松陽の登場シーンは銀時の回想内における断片的な場面に限られていました。当時から声優ファンの間では「ほんの数言しか喋らない回想キャラに、なぜ山寺宏一という大御所を起用したのか」という疑問が度々囁かれていました。
その背景について、後年の公式インタビューや舞台挨拶で明かされた事実によると、原作者・空知英秋氏の強い希望と制作陣の長期的な構想が存在していました。空知氏は連載初期の段階から、松陽というキャラクターが単なる優しい恩師で終わる存在ではないこと、そして物語の終盤でとてつもない絶望の化身として立ちはだかる構想を練り上げていました。
「聖人君子の慈愛」と「全宇宙を滅亡へ導く怪物の底知れぬ狂気」という極端な二面性を1人で背負い、かつ銀時たちの師として圧倒的なカリスマ性を担保できる声優は、業界広しといえども山寺宏一をおいて他にいなかったのです。初期の短い出演シーンからすでに、後の大展開を見据えた必然のキャスティングであったことが証明されています。