過去の病歴を正しく振り返ることは、現在の桑田佳祐の強靭さを理解する上で不可欠です。2010年7月、定期健診の内視鏡検査で食道がんが早期(ステージI)で発見されました。執刀医の手術は見事に成功し、同年大晦日の『第61回NHK紅白歌合戦』で早くもテレビ復帰。翌2011年には東日本大震災の復興支援を掲げて宮城で復活ライブを敢行しました。
がん治療において極めて重要な指標とされる「術後5年生存率」「寛解」の壁をとうの昔に突破し、2026年現在で術後16年が経過しています。医学的見地からも完全に克服したと判断できる状態であり、転移や再発の兆候は微塵も報告されていません。
この奇跡的な健康回復と体力維持の背景には、妻でありサザンオールスターズのキーボーディストでもある原由子の献身的なサポートと卓越したパートナーシップが存在します。桑田自身、当時の特番インタビューや自著・手記で「女房の支えがなければ、あの恐怖とリハビリを乗り越えられなかった」と率直に告白しています。
術後、原由子は専門医の指導のもとで徹底した低残渣・高タンパクの消化に優しい食事療法を導入。アルコールや刺激物の摂取を制限しつつ、桑田がストレスを感じないよう日々の食卓をコーディネートしてきました。さらに音楽制作においても、桑田が無理なスケジュールで声を潰さないよう、リハーサルやレコーディングの進行を客観的に管理。お互いをプロの音楽家として尊重し合いながら、私生活では厳格に健康を守るという、まさに「戦友」と呼ぶべき夫婦関係が、70歳を迎えた今もステージで咆哮できる声帯と体力を支えています。