「紙巻きタバコと比べて害が少ない」という触れ込みで世に広まったアイコスですが、結論から言えば、身体に対して明白に有害です。「紙巻きタバコより相対的に毒素の量が少ない」ことと、「生体にとって無害である」ことの間には、決して看過できない決定的な隔たりが存在します。
世間の議論を混乱させている最大の要因は、フィリップモリス公式見解における有害性の受け止め方にあります。メーカー側は研究開発成果として「紙巻きタバコと比較して、主要な有害化学物質の発生量が平均で約95%削減されている」と公表しています。これは、タバコ葉を800度以上で「燃焼」させる紙巻きタバコと異なり、300度前後で「加熱」して蒸気(エアロゾル)を発生させる技術革新によるものです。燃焼に伴って発生する一酸化炭素や多環芳香族炭化水素といった猛毒物質が大幅にカットされる点自体は、第三者の研究機関でも追認されています。
しかし、このアイコスの害が95パーセント削減という真相を「健康被害そのものが95%減る」と読み替えるのは完全な誤解です。有害物質の発生量と、それが人体に引き起こす病気のリスクは比例関係(線形)にはありません。わずかな量であっても体内に取り込み続ければ、生体組織には着実にストレスが蓄積します。成分の含有量としてアイコスにおけるニコチン・タール・有害物質を精査すると、発がん性物質の総量は劇的に減っているものの、依存の主原因であるニコチン量は従来の紙巻きタバコとほぼ同等(スティック1本あたり約1mg前後を血中に供給)であることが判明しています。