カレーの隠し味としてもっとも誤解されているのが、カレーの隠し味にはちみつを入れるタイミングです。多くの家庭で「仕上げに甘みをつけるため最後に入れる」という調理が行われていますが、これは科学的に大きな過ちです。
生のはちみつには「アミラーゼ(ジアスターゼ)」と呼ばれる消化酵素が豊富に含まれています。このアミラーゼは、カレールーのとろみの正体である「デンプン」を糖へと分解してしまう性質を持っています。そのため、火を止めた後や仕上げにはちみつを入れると、数分でとろみが失われ、シャバシャバのスープ状になってしまう現象が起こります。
これを防ぐための科学的アプローチは以下の通りです。
- 対策1(加熱による酵素失活):具材を水から煮込む段階(ルーを入れる前)にはちみつを投入し、沸騰状態で20分以上加熱する。アミラーゼは75℃以上の加熱で熱変性し、失活します。
- 対策2(炒め段階での糖化):玉ねぎを炒める段階でカレーの隠し味にすりおろしりんごと共にはちみつを加え、キャラメリゼさせる。
また、和の調味料であるカレー隠し味における醤油と味噌の配合についても、入れる順番が重要です。味噌の香気成分は揮発しやすいため、ルーを完全に溶かした後の最終煮込み段階(火を止める3分前)に、煮汁で溶いてから回し入れるのがベストです。