原材料費の高騰や後継者不足など、現在の外食産業を取り巻く環境は決して穏やかではない。効率化やコスト削減を名目に、下ごしらえを外部委託する店舗も増えている。だが、この店は頑なに昔ながらの工程を変えようとしない。
「手間を省けば、それはもううちの味じゃない」。その愚直なまでの誠実さこそが、客が足を運び続ける最大の理由だ。どれほどメディアで騒がれようとも、店主は毎朝市場へ足を運び、自分の目で選んだ食材だけを厨房へと持ち帰る。流行に流されず、奇をてらわず、ただ目の前の客を喜ばせることだけに集中する姿がそこにある。