バセドウ病の治療において、最も危険であり絶対に避けなければならないのが「抗甲状腺薬(メルカゾールやチウラジール・プロパジール)の自己判断による服薬中断や減量」です。
治療を開始して数週間から数か月が経過すると、血中の甲状腺ホルモン(FT3・FT4)の数値が下がり、動悸や倦怠感が劇的に改善する時期が訪れます。しかし、この段階では自覚症状が消えただけであり、病気の根本原因である「TSH受容体抗体(TRAb)」は依然として体内に残っています。このタイミングで「もう治った」と誤認して服薬をやめてしまうと、抑え込まれていたホルモンが急激にリバウンドし、以前よりも重度な甲状腺機能亢進状態に逆戻りします。
さらに深刻なのは、服薬中断に伴って「甲状腺クリーゼ」と呼ばれる致死率10%前後の急性増悪状態に陥るリスクです。40度近い高熱、著しい頻脈(1分間に140回以上)、不整脈、意識障害、ショック状態を引き起こし、集中治療室での緊急治療が必要になります。一般的に甲状腺ホルモン数値が安定し、抗体が陰性化して安全に減薬・休薬できるまでには最低でも1年半〜2年以上の継続的な通院と内服コントロールが必要です。処方された薬は医師の指示通りに飲み続けることが鉄則です。