近年のデジタルメディアにおける手羽先の熱狂ぶりも見逃せない。大手グルメサイト「食べログ」の百名店に名を連ねる名店には、連日開店前から長蛇の列ができる。さらに人気ドラマ『孤独のグルメ』で紹介された下町の渋い居酒屋が聖地巡礼の対象となり、地元客と遠方からのファンがカウンターで肩を並べる光景が定着した。
SNSやYouTube上では、「どれだけ綺麗に骨を抜けるか」を競うショート動画や、有名インフルエンサーによる隠れ家店のレポート動画が数百万回再生を記録している。画面越しに伝わるパリッという咀嚼音、滴るタレの艶が、若年層の食欲をダイレクトに刺激する。昔ながらの赤提灯で炭火焼き手羽先を出すディープな穴場から、八丁味噌や山椒を効かせた新進気鋭の創作店まで、情報が瞬時に拡散されることで、名店の裾野はかつてない広がりを見せている。