話は1960年代のアメリカにさかのぼる。当時のキャットショーで絶対的な人気を誇っていたのは、優雅な毛並みを持つペルシャ猫だった。しかし、毎日のブラッシングにかかる労力は並大抵ではない。そこに目をつけたのが、伝説的なブリーダーであるキャロリン・バッシーだ。
彼女は「ペルシャの愛らしい顔立ちと性格の良さをそのままに、手入れが楽な短毛種を作れないか」と考えた。アメリカンショートヘアとの交配という大胆な試みは、当初、血統の純粋性を重んじる既存ブリーダーから強い反発を受ける。だが、仕上がった個体の圧倒的な愛くるしさは人々の心を即座に射止めた。
世界最大の猫血統登録団体であるザ・キャット・ファンシアーズ・アソシエーション(CFA)やTICA(The International Cat Association)が新種として正式認可を下すまでに、そう時間はかからなかった。手入れの手間を省いた「パジャマを着たペルシャ」は、こうして世界へと羽ばたいたのだ。