では、私たちはひじきを食卓から排除すべきなのだろうか。答えは断じて否である。ひじきには現代人に不足しがちな食物繊維、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが凝縮されており、極めて優れた健康食材であることに変わりはない。重要なのは「食べ合わせの妙」を駆使することだ。
非ヘム鉄の吸収率を飛躍的に高める鍵は、還元作用を持つ「ビタミンC」と「動物性タンパク質」にある。クックパッドをはじめとする大手レシピサービスでも、従来の甘辛い煮物一辺倒から脱却し、ひじきとパプリカ、豚肉、レモンを組み合わせたマリネや炒め物といったスマートな調理法が支持を集めている。
ビタミンCは、難吸収性の非ヘム鉄を吸収されやすい形(2価鉄)へと変化させる触媒として機能する。さらに、肉や魚に含まれる良質なタンパク質が共存することで、胃酸の分泌が促され、鉄の吸収窓口が劇的に広がる。ひじきを単体で食べるのではなく、鮮やかな緑黄色野菜や肉類と一皿に仕立てることこそが、貧血を改善へ導く合理的な摂取テクニックだ。