インターネット上の掲示板やSNSでは、近親相姦の話題に対して「嫌なら逃げ出せばよかったのではないか」「声を上げなかった以上、合意があったのではないか」といった無理解に基づく意見が散見されます。しかし、これは被害構造の本質を見誤った重大な誤解です。
専門機関の調査やトラウマ研究において、長期間にわたり虐待環境に置かれた人間は「学習性無力感」に陥ることが証明されています。抵抗すればさらなる暴力に晒される、あるいは家庭が崩壊して生活できなくなるという恐怖から、「抵抗を諦めて従うこと」が唯一の生存戦略になってしまうのです。
表面上は従順に見えたり、反抗的な態度を取らなかったりしたとしても、それは自由な意思決定に基づく「合意」ではなく、支配関係のなかで強制された「適応行動」に過ぎません。2026年現在の法実務および心理臨床においては、外見上の拒絶の有無のみで合意を判断することは完全に否定されています。