血液透析を行うには、1分間に150〜250mL以上という大量の血液を体外へ送り出す必要があります。しかし、採血で用いられる腕の通常の静脈は血管壁が薄く、血流も毎分十数mL程度にとどまるため、透析用の太い針(15〜17ゲージ)を反復穿刺して十分な血流を得ることは不可能です。そこで、外科的手術によって血流が豊富な動脈と静脈をつなぎ合わせたり、専用の管を挿入したりして血液透析における安定した血管確保を行います。この血管ルート全体を指す医学用語が「ブラッドアクセス(Blood Access)」であり、国際的には「バスキュラーアクセス(Vascular Access:VA)」とも呼ばれます。
日常会話や透析室では「ブラッドアクセス」と「シャント」が同義語のように使われる場面が多く見られますが、正確には包含関係にあります。ブラッドアクセスは透析を行うための血液出入り口全般を指す包括的な総称であり、シャント(短絡)はそのブラッドアクセスを造設する代表的な手法の一つです。シャントを作製できない患者が用いる動脈表在化や透析用カテーテルも、すべてブラッドアクセスの一部として位置づけられます。