結論から申し上げますと、「去年の灯油を石油暖房機器に使用することは厳禁」です。灯油はガソリンや軽油と同じく石油精製物であり、精製された瞬間から空気中の酸素、紫外線、温度変化、水分などの影響を受けて徐々に劣化が始まります。
未開封か開封後かを問わず、家庭用ポリタンクで保管された灯油の品質が維持できる期間は、一般的に購入から1シーズン(およそ3か月から最長でも半年程度)とされています。春から夏、秋にかけての過酷な気温変化や湿度を経験した「持ち越し灯油」は、外見上の変化がわずかであっても化学構造が変質しているケースが大半です。
持ち越し灯油を使用することで発生する主なリスクは以下の3点に集約されます。
- 機器の致命的な故障:気化器や燃料ノズルにタール(燃えかすの粘着物)が固着し、点火エラーや途中消火を引き起こす。
- 不完全燃焼と異臭・煙:正常な燃焼温度に達せず、強烈な刺激臭や黒煙が発生し、最悪の場合は一酸化炭素中毒を招く。
- 異常燃焼による火災リスク:水分が混入した灯油や変質灯油が気化器内で異常沸騰を起こし、機器の破損やボワッというバックファイア(異常着火)を誘発する。