厳しい冬の荒波に揉まれる沿岸や日本海側の漁場から水揚げされる魚介類は、春から秋にかけての個体とは比較にならないほどの肉質変化を遂げます。水産関係者の間でも「寒モノ」と呼ばれるこの時期の魚介は、取引価格も年間最高値を記録することが珍しくありません。
市場評価と栄養学的価値を総合した冬が旬の魚ランキングにおいて不動のトップに君臨するのが、富山湾や能登半島沖などで水揚げされる寒ブリです。産卵を控えて北の海から南下するこの時期の寒ブリ脂の乗りは驚異的で、筋肉中の脂質含有量は夏場の約5%程度から20%〜25%前後にまで跳ね上がります。この脂には血液サラサラ効果や脳機能維持が期待されるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)が極めて高濃度に含まれており、上質な脂特有のとろけるような舌触りを生み出します。
続いて注目されるのが、12月下旬から2月にかけて旬のピークを迎える真鱈白子時期の白子(キクタツ・タモト)です。低脂肪・高タンパクな真鱈のオスの精巣である白子は、ビタミンB12やDNA合成を助ける核酸を豊富に含み、クリーミーな食感と濃厚なコクが特徴です。さらに、加熱用として出回る冬の真牡蠣栄養効果も見逃せません。冬の真牡蠣は春の産卵期に向けて体内に「海のミルク」と称される多量のグリコーゲンと亜鉛を蓄積します。亜鉛は細胞分裂や味覚の正常化、免疫細胞の活性化に不可欠な微量ミネラルであり、成人が1日に必要な摂取量をわずか2〜3粒で補えるほどの凝縮度を誇ります。