通常の口内炎(アフタ性口内炎)は、適切な休養や軟膏の使用によって1週間から最長でも10日前後で自然上皮化します。警戒すべきは「口内炎が治らないまま2週間以上が経過している」ケースです。
日本頭頸部癌学会のガイドライン等でも指摘されている通り、舌の縁や舌の裏にできる口内炎で何科を受診すべきか迷うような潰瘍病変のなかに、初期の舌がんをはじめとする口腔がんが潜んでいる事例が報告されています。一般的なアフタ性病変と悪性腫瘍には明確な違いが存在します。
- 境界と形状:良性のアフタは周囲が赤く(発赤)、中央が白〜黄色の窪みで境界が比較的明瞭。悪性病変は境界が不規則でギザギザしており、潰瘍の底が盛り上がる(外向性)ことがある。
- 触感としこり:良性は指で触れると柔らかく表面的な痛みがある。悪性腫瘍は粘膜の深部に硬いしこり(硬結)を触知することが多い。
- 痛みの性質:アフタは飲食時に激痛を伴うが、初期の口腔がんは痛みが軽微または無痛のまま経過することがある。
- 出血傾向:触れただけで簡単に出血し、血が止まりにくい場合は注意が必要。
臨床データによると、抗がん剤治療を受けている患者の40〜80%に薬剤性口内炎が発現するなど、免疫力や服用薬の兼ね合いも絡みます。自己判断で「ただの口内炎」と放置せず、2週間を超えた病変は総合病院の歯科口腔外科や頭頸部外科で組織生検(細胞診)を受ける体制を整えてください。