冨樫義博の手によって生み出された『キメラ=アント編』は、少年漫画の歴史におけるひとつの到達点と言っていい。集英社の『週刊少年ジャンプ』に掲載された当時、読者が目撃したのは勧善懲悪の崩壊だった。その中心で無邪気な殺戮を始めたのが、王直属護衛軍の第一陣として孵化したネフェルピトーである。
生まれた瞬間から異次元の戦闘力と禍々しい「円」を操り、歴戦の手練れであるプロハンターたちを震え上がらせた。理屈の通じない捕食者としての純粋さ。善悪の概念を持たず、ただ己の衝動と興味に従って動く姿は、まさにダーク・ファンタジーとしての『HUNTER×HUNTER』の真骨頂だった。