白泉社が発行する『ヤングアニマル』において、本作が果たしてきた役割は計り知れない。もともとは男性読者を主軸に据えていた青年漫画誌というフィールドに、羽海野チカという柔らかな感性が持ち込まれたことは、当時の漫画シーンにおいて一種の革命だった。
家族の崩壊、孤独、いじめ、そして再生。重厚で時に目を背けたくなるようなテーマを扱いながら、決して読者を絶望の底に突き放さない。美味しそうな手料理の描写や、愛らしい猫たちのしぐさで息を抜かせつつ、心の深層へと潜っていく。青年漫画というジャンルの枠組みそのものを押し広げ、性別や年齢の壁を取り払って幅広い層に愛読されるプラットフォームを築き上げた功績は極めて大きい。