芸人として順風満帆に見えた山添のキャリアにおいて、最大の危機となったのがTBS系朝の情報バラエティ『ラヴィット!』におけるロケ炎上事件でした。
2023年5月2日に放送された韓国ロケ企画において、山添は市場の店頭に並んでいたタッカンジョン(唐揚げ)に対し、自身が使用していた爪楊枝を直接突き刺して食べるという行為を行いました。衛生観念への配慮を著しく欠いたこの振る舞いは、放送直後からSNS上で激しい批判を浴び、番組側が謝罪文を出す事態へと発展。山添自身も一定期間、番組への出演が見送られる「実質的な出禁状態」となりました。
一歩間違えれば朝の生放送のレギュラー枠を永久に失いかねない深刻な失態でしたが、彼はこの窮地から驚異的な生還を果たします。なぜ山添寛は芸能界から干されることなく、むしろ番組内で不可欠な存在として復帰できたのでしょうか。そこには3つの決定的な背景がありました。
第一に、MCを務める川島明(麒麟)との揺るぎない信頼関係です。川島は山添の芸人としての瞬発力と覚悟を誰よりも高く評価しており、騒動後も頭ごなしに切り捨てるのではなく、「番組のヒール役」としての贖罪とイジりを緻密に構成しました。
第二に、関係者や店主に対する誠心誠意の直接謝罪と現場での振る舞いです。番組関係者の証言によると、カメラの外での山添は憔悴しながらも一切の言い訳をせず、制作側や現地関係者へ誠実に対応し続けました。
そして第三に、復帰後の放送で見せた「反省しつつも媚びない」絶妙なスタンスです。数ヶ月の謹慎期間を経てスタジオに再登場した際、山添は過度に神妙な態度で同情を誘うのではなく、自虐と悪態をギリギリのラインでブレンドし、スタジオを爆笑の渦に巻き込みました。この瞬間、炎上の汚名は「バラエティにおけるプロレスの文脈」へと見事に昇華されたのです。