ヤクルトの基幹成分である「乳酸菌 シロタ株(学名:L. カゼイ YIT 9029)」は、1930年に医学博士の代田稔氏によって強化培養されたプロバイオティクス乳酸菌です。一般的に乳酸菌の多くは、胃液に含まれる強酸性の塩酸や、十二指腸で分泌される強力な胆汁酸に晒されると死滅してしまいます。しかしシロタ株は、これら過酷な消化液に耐え抜いて「生きたまま腸まで届く」極めて高い耐酸性を備えています。
生きて大腸・小腸に到達したシロタ株は、腸内で発酵を行い、乳酸を産生します。この乳酸が腸内を弱酸性の環境に傾けることで、アルカリ性の環境を好むクロストリジウムや大腸菌などの悪玉菌の増殖を強力に抑え込みます。同時に、ビフィズス菌をはじめとする善玉菌の活動を後押しし、腸管の蠕動運動を活性化させる短鎖脂肪酸の産生を促進。これが便秘解消と腸内環境改善がもたらされる生理学的なメカニズムです。
さらに注目すべきは、免疫力向上のメカニズムです。人体に存在する免疫細胞の約7割は、外敵の侵入ルートである腸(腸管関連リンパ組織:GALT)に集中しています。シロタ株はパイエル板と呼ばれる腸の免疫器官に取り込まれ、異物を貪食するマクロファージや樹状細胞を刺激します。これにより、体内のウイルス感染細胞や異常細胞を監視・攻撃するナチュラルキラー(NK)細胞の活性が維持・向上することが、多数の学術論文で報告されています。毎日の継続的な補給は、腸という巨大な防壁を常に臨戦態勢に保つためのメンテナンスと言えます。