関西圏を中心に広く知られる「三田屋」ですが、ネット上や旅行者の間で最も頻繁に持ち上がるのが「廣岡揮八郎の三田屋と何が違うのか?」という疑問です。看板の雰囲気やロゴ、ハムオードブルの提供形態が似通っているため同一チェーンと誤解されがちですが、両者は完全に別法人が運営する別ブランドです。
この違いを理解するには、昭和の精肉業界に端を発する創業一族の歴史を紐解く必要があります。もともと兵庫県で精肉加工・流通を手がけていた廣岡家の兄弟たちが、それぞれの哲学に基づいて外食産業へ進出したことが発端です。次男である廣岡揮八郎氏は「食は芸術」を掲げつつも、より広範な店舗展開やオリジナル食品の物販、自家製地ビールなどの開発へと舵を切り、「三田屋株式会社(廣岡揮八郎の三田屋)」を発展させました。
一方、四男である廣岡三好氏が「文化と食の真なる融合」を追求し、1981年に開いた理想郷が「株式会社 三田屋本店」が運営する「やすらぎの郷」です。三好氏は能楽の奥深さに私財を投じ、敷地内に本物の能舞台を建立。世界中どこを探しても類を見ない、文化サロンのようなレストランを築き上げました。兄弟それぞれが異なるアプローチで「肉の芸術」を追及した結果、現在の二大ブランド体制が確立されたのです。