1917年(大正6年)に生を受けた六代目中村歌右衛門の歩みは、決して平坦なものばかりではありませんでした。幼少期に罹患した病によって脚にハンディキャップを抱えながらも、それを独自の抑制された所作と濃密な内面表現へと昇華させた経歴は、まさに不屈の芸術家魂そのものです。
戦後の1951年(昭和26年)、歌舞伎座において六代目中村歌右衛門を襲名。以降、半世紀近くにわたり劇界の頂点に君臨しました。1968年には重要無形文化財保持者(人間国宝)各個認定を受け、1979年には文化功労者、1981年には文化勲章を受章。海外公演でも絶賛を浴び、日本の伝統演劇が持つ美の極致を世界へ知らしめました。