医療現場において、食間の解釈トラブルはどれほど頻発しているのか。都内近郊の調剤薬局に勤務するベテラン薬剤師に取材したところ、驚くべき実態が浮き彫りになった。
「初めて漢方薬や胃粘膜保護薬を処方された患者さんのうち、服薬指導の段階で『食間とは食事の最中のことだと思っていました』と答える方は体感で2〜3割に上ります。中には『ご飯とおかずを口に入れたあと、お茶代わりに粉薬を流し込んでいた』という患者さんも珍しくありません。言葉の響きが招く構造的な認知エラーだと感じています」
SNSやネット掲示板(知恵袋など)を調査しても、同様の生々しい告白が無数に見受けられる。
- 「ずっと定食を食べながら途中で漢方を飲んでいた。苦い思いをしておかずと混ぜていたのに、まさか食後2時間後だったなんてショックすぎる」
- 「『食間』と書いてあったので、同僚とのランチ中に堂々と机に出して飲んでいたら、看護師の友人に『それ今飲むやつじゃないよ!』と怒られた」
- 「会社員をしていると、午前10時や午後3時に薬を飲むタイミングを確保するのが難しく、ついつい昼食時にまとめて飲んでしまう」
患者心理の観点から分析すると、日本人は「食事」という確定した生活行動に服薬を結びつける習性がある。朝・昼・晩の食事時間をアンカー(固定点)として行動をパターン化しているため、「食事から2時間離れた時間帯」という浮動的なスケジュールを管理することに対して、強い認知的負荷を感じてしまうのだ。この心理的ハードルが、知らず知らずのうちに自己流の解釈(食事中服薬)へ流れてしまう温床となっている。