介護費用の削減効果が際立つ一方で、世帯分離には見落としがちな落とし穴が存在します。安易に手続きをして「かえって支出が増えてしまった」という事態を防ぐため、事前の検証が不可欠です。
最大のデメリットとなりやすいのが、国民健康保険料の負担増です。自営業やフリーランスなどで親子ともに国民健康保険に加入している場合、保険料には世帯ごとに定額で課される「平等割(世帯別平等割)」や加入者ごとにかかる「均等割」があります。世帯を2つに分けることで、これまで1世帯分で済んでいた基本料金的な部分が2世帯分ダブルで請求されることになり、トータルの国保料が跳ね上がるリスクがあります。
また、職場の家族手当や住宅手当の支給要件にも注意が必要です。勤務先の就業規則において「同一世帯であること(住民票上同一であること)」が支給条件になっている場合、世帯分離によって月数万円の手当が打ち切られる恐れがあります。
なお、税務上の扶養控除(所得税・住民税の扶養控除)については、必ずしも同居や同一住民票が要件ではありません。世帯分離後も日常的に仕送りを行っているなど「生計を一にしている」実態があれば、確定申告や年末調整で扶養控除を適用し続けることは可能です。ただし、会社の健康保険(社会保険)の被扶養者から外れるかどうかは健康保険組合ごとの審査基準によるため、事前の確認が欠かせません。