物語のクライマックス、物語の舞台は因縁の地である函館・五稜郭へと回帰します。金塊の隠し場所が五稜郭の馬出(堡塁)地下であることが判明し、土方組、第七師団、杉元・アシㇼパ陣営が入り乱れる大乱戦が勃発しました。
土方は70歳を越える老躯でありながら、鬼神のごとき剣技と卓越した戦術指揮を披露。かつて自らが設計に関わった五稜郭の防衛構造を最大限に活かし、圧倒的な戦力差を誇る第七師団と互角以上に渡り合います。しかし、次世代の若き精鋭である第七師団少尉・鯉登音之進との一騎打ちの最中、不意を突いた二階堂浩平の自爆特攻銃撃を受け、致命傷を負ってしまいます。
薄れゆく意識の中、土方は自身の愛刀「和泉守兼定」をアイヌの未来を担うアシㇼパへと託し、かつて散っていった幕末の同志たちの幻影を見据えながら、静かに息を引き取りました。自らの信念のために命を燃やし尽くし、悔いなく散っていくその最期は、まさに「ラストサムライ」の呼称にふさわしい荘厳な幕引きでした。
作中で土方が残した言葉の数々は、現代を生きる読者の心にも強く突き刺さります。
- 「いくつになっても男子は童心を捨てちゃあいかん」
渋さと少年のような冒険心を同居させた、土方歳三という男の器の大きさを象徴する言葉。 - 「この時代に輝くのは…俺たち新選組だ」
明治という近代化の波に押し流され、時代遅れの遺物と揶揄された武士たちの矜持を一言で取り戻した魂の叫び。 - 「じじいになっても戦い続けるのは…最高に気持ちがいいぞ」
安全な余生を拒絶し、己の信義の刃を研ぎ澄まし続けた男だからこそ言える究極の死生観。