戴帽式とは、看護学校や大学で基礎的な看護理論と演習を修めた学生が、初めて実際の患者と向き合う看護学生の臨地実習へ赴く直前に執り行われる伝統的な式典です。女子学生は頭上に純白のナースキャップを戴き、看護の本質である献身と責任を自覚します。
一般的に戴帽式を行う時期は、専門学校や高校衛生看護科では1年次の秋から冬、4年制大学では基礎実習を控えた1年次後期または2年次前期に設定されてきました。過酷な講義や実技テストをくぐり抜けた学生にとって、それは単なるお祝い事ではなく、一人前の看護職を目指すための精神的な境界線(イニシエーション)として機能してきました。
儀式のハイライトとして知られるのがキャンドルサービスです。壇上の中央に置かれた親灯から、一人ひとりが手にする小さな蝋燭へ火を分かち合うこの行為は、クリミア戦争の夜戦病院でランプを掲げ傷病兵を見回ったフローレンス・ナイチンゲールの精神を継承することを意味します。暗闇の中に浮かび上がる無数の灯火の下、全員で一言一句違わずに唱和するナイチンゲール誓詞は、これから人の生命を預かる若者たちの胸に、消えることのない職業倫理を刻み込んできました。