RX-7のオーナーを最も震え上がらせるのが、ロータリーの命綱であるハウジングとアペックスシールのトラブルです。一般的なレシプロエンジンであれば30万km無交換で走るケースも珍しくありませんが、高出力シーケンシャルツインターボを搭載したFD3Sのエンジン寿命は約8万〜10万km前後がひとつの節目とされます。
走行距離が延びて圧縮圧力が低下すると、避けて通れないのが「ロータリーエンジンオーバーホール費用」です。かつては50万〜80万円程度でリビルト品への載せ替えが可能だった時代もありました。しかし現在では、新品ローターハウジングの供給逼迫や職人の工賃高騰に伴い、標準的なオーバーホールでも100万〜150万円以上、ハウジングやローター自体に致命的な傷があるフルリフレッシュでは200万円を超える見積もりも珍しくありません。
突然の破綻を避けるためには、「RX-7エンジンブローの前兆」を見逃さない観察眼が問われます。現場の熟練メカニックが挙げる代表的な初期症状は以下の通りです。
最も分かりやすい予兆が「温間時の始動性悪化」です。冷間時は一発でかかるものの、コンビニなどに立ち寄って15分後に再始動しようとすると、セルモーターが延々と回り続けてなかなか火が入らない。これは圧縮圧力が低下し、温まったハウジング内で十分な負圧と気密性が保てなくなっている危険な兆候です。また、信号待ちでのアイドリングの激しい脈動、シフトノブに伝わる不自然な振動の増大、マフラーからの異臭を伴う白煙も末期症状のサインとなります。
エンジン本体だけでなく、「RX-7故障しやすい箇所」の多さも維持を困難にする一因です。強烈な熱害による水回り(ラジエーターアッパータンクの破損やヒーターホースの亀裂)、複雑怪奇な「黒いタコ足」と呼ばれるシーケンシャルツインターボを制御する負圧配管・ソレノイドバルブの劣化、熱で硬化したハーネスの断線など、ボンネット内部は常に熱との戦いです。これらが連鎖的にトラブルを起こし、修理代が雪だるま式に膨らんでいきます。