日本語が他言語話者、とりわけ欧米系言語のネイティブにとって「超難関」と映る最大の障壁は、根本的な文法構造の違いにある。城西大学の情報発信メディア『JOSAI LABO』をはじめとする言語教育機関の分析でも、学習者が最初につまずくポイントとして「語順」と「助詞」が挙げられている。
世界の主要言語である英語や中国語は、文の骨格が「S(主語)+V(動詞)+O(目的語)」で構成されるSVO型言語であるのに対し、日本語は「S(主語)+O(目的語)+V(動詞)」を基本骨格とする日本語の語順SOV型を採用している。英語では「I eat an apple.」のように主語の直後に結論(動作)が明示されるが、日本語では「私はリンゴを食べる」となり、肯定なのか否定なのか、過去形なのか推量なのかといった核心部分が文末まで到達しないと確定しない。この構造的特性は、日本人の思考様式やコミュニケーションの慎重さにも直結している。
さらに日本語は、語幹に様々な文法機能を持つ形態素が連なる膠着語(こうちゃくご)の特徴と具体例を色濃く残している。例えば、「行く(動詞の語幹)」に対して「行か-ない(否定)」「行か-せ-る(使役)」「行か-せ-られ-る(使役受身)」「行か-せ-られ-たく-ない(使役受身願望否定)」のように、付属語が電車の連結車両のように次々と接続していく。この変幻自在な接続規則と、単語同士の関係性を定義する「助詞(て・に・を・は)」の繊細なニュアンスの使い分けが、日本語学習者に立ちはだかる決定的な壁となっている。