「相手がどこの銀行を使っているかすら分からない」「離婚後に元配偶者が転職して居場所がつかめない」という絶望的な状況であっても、第三者からの情報取得手続を利用すれば特定できる確率は飛躍的に高まります。民事執行法第205条以下に規定された本手続は、裁判所が第三者(金融機関、公的機関、登記所)に対して、債務者の財産に関する情報の提供を命じる法的手続です。
この手続で開示させることができる情報は、大きく分けて以下の3カテゴリーに分類されます。
- 預貯金・有価証券情報(金融機関・振替機関):指定した銀行や信託銀行、証券会社において、債務者名義の口座が存在するか否か、存在する場合は取扱店舗、預貯金の種別、口座番号、および照会時点の残高が開示されます。
- 勤務先・給料情報(市町村・日本年金機構等):市町村が保有する住民税の課税台帳や、日本年金機構が保有する厚生年金の被保険者記録から、債務者の給与支払者(=現在の勤務先企業)の名称と所在地が開示されます。
- 不動産情報(登記所・法務局):債務者が所有する土地や建物について、不動産登記情報の一括検索システムを通じて所有物件の目録が提供されます。
とりわけ強力なのが預貯金照会です。かつての弁護士照会(弁護士法23条の2に基づく照会)では、支店名まで特定しなければ回答を拒否する金融機関が主流でしたが、裁判所の情報取得手続ではメガバンクやゆうちょ銀行の本店に対して照会をかけることで、全国すべての支店の口座残高が一括で判明します。隠し口座として利用されがちなネット銀行(楽天銀行、住信SBIネット銀行など)も照会対象に含めることができ、債務者が自ら告げなかった資産が赤裸々に白日の下に晒されます。