密閉袋に入れているにもかかわらず端末が故障する最大の原因、それは外側からの浸水ではなく、スマートフォンの精密機械の内部で直接水分が発生する「内部結露」です。冬場に暖房の効いた部屋の窓ガラスがびっしりと水滴で濡れる現象と全く同じ原理が、端末のガラスパネルの裏側や心臓部であるメイン基板の上で発生します。
一般的な浴室の環境は、室温38〜42℃、湿度90%以上という極度の高温多湿空間です。一方、持ち込まれたスマートフォン自体の内部温度やフレームは、脱衣所や室内の温度(約15〜22℃)のまま浴室に入ります。袋を閉じる際に閉じ込められた空気中の水分、さらには温められた袋の内部と、プロセッサ(SoC)や冷たい金属フレームとの激しい温度差によって、空気中に溶け込みきれなくなった気体の水蒸気が一瞬にして液体の水滴(結露)へと姿を変えます。
都内のスマートフォン修理専門店スタッフの証言によると、「画面の内部が白く曇った、あるいはカメラレンズの内側に水滴がついた状態で持ち込まれる端末の約8割が、入浴時のジップロック利用によるもの」だといいます。外側がいくら乾いていても、基板上の回路に水滴が付着すれば即座に微小なショートを起こし、電子回路に青サビ(腐食)を発生させて完全な文鎮化(再起不能)を招きます。