万が一、再活性化が始まってしまった場合、最も恐れるべきは「後遺症」への移行です。帯状疱疹の皮疹が治った後も長期間にわたって激しい痛みが残る病態を帯状疱疹後神経痛(PHN:Postherpetic Neuralgia)と呼びます。50歳以上で発症した患者のおよそ2割、70歳以上では3割から4割近くがこの後遺症に移行するという厳しい統計が存在します。
PHNに移行すると、「衣服が擦れるだけで電気ショックのような激痛が走る」「夜も眠れずうつ状態に陥る」といった生活の質(QOL)の壊滅的な低下を招きます。これを防ぐためには、皮膚に水ぶくれや赤い斑点が出る前の「初期症状・前兆サイン」を察知し、皮膚科専門医を即座に受診することが命運を分けます。
帯状疱疹の典型的な前兆プロセスは以下の通りです。
- 第1段階(発疹の3〜5日前):体の左右どちらか一方の限られたエリアに、「ピリピリ」「チクチク」「ズキズキ」とした神経の痛みや痒み、違和感が生じる。虫刺されや筋肉痛と間違えやすい。
- 第2段階(発疹の1〜2日前):皮膚に触れた際の感覚過敏(衣服が擦れると不快な痛みを伴う)や、微熱、全身の倦怠感、リンパ節の腫れが加わる。
- 第3段階(発症当日〜3日目):痛んでいた神経の走行に沿って、赤み(紅斑)が出現し、その上に小さな水疱が帯状に群発する。
皮膚に赤い発疹や水ぶくれが現れてから72時間(3日)以内に抗ウイルス薬の服用を開始できるかどうかが、神経の破壊を食い止め、後遺症を回避するための決定的な分岐点となります。「少し様子を見よう」という数日間の猶予が、その後の数年間に及ぶ痛みの原因になりかねません。