埼玉県公立高校入試を語る上で欠かせないのが、合格ボーダーラインと偏差値、そして民間模試である北辰テストの存在です。埼玉県の多くの中学3年生は、中3の春から冬にかけて全8回開催される北辰テストを指針として志望校を選定します。
しかし、ここで受験生が直面するのが「北辰テスト基準点と合否相関のズレ」です。北辰テストで算出される合格可能性80%ラインの偏差値は、過去の膨大なデータに基づいた確度の高い数値ですが、上位校入試において採用される「学校選択問題(数学・英語の難問統一テスト)」の存在が大きな変数となります。
学校選択問題では、標準問題に比べて平均点が著しく低下します。数学において難関私立校並みの思考力や図形問題、英語における長文読解と自由英作文が課されるため、北辰テストで高い偏差値を出していても、学校選択問題への特化演習が不足している受験生は本番で一気に失点するリスクがあります。反対に、内申点が多少低くとも、学校選択問題で70点以上を叩き出せる得点力を持った受験生が、合格ボーダーラインの最下層から大逆転合格を果たす事例が後を絶ちません。
各高校が設定している「学力検査と調査書(内申点)の選抜比率」の確認も必須です。第一次選抜において浦和高校や大宮高校は「学力検査:調査書=6:4」や「5:5」を採用し、第二次選抜では「7:3」や「8:2」と、より当日の学力試験を重視する傾斜配分を敷いています。つまり、倍率が高騰した場合でも、恐れるべきは全体の出願者数ではなく、「自分自身の当日の学力検査得点力」であるという事実を冷徹に受け止める必要があります。