稲庭うどんの発祥は、江戸時代初期の寛文5年(1665年)にまで遡ります。出羽国雄勝郡稲庭村(現在の秋田県湯沢市稲庭町)において、宗家である佐藤市兵衛が地元の上質な小麦と清らかな名水を用いて製法を確立したのが始まりとされています。
その完成度の高さから、当時の秋田藩主・佐竹公への上納品や、将軍家・皇室への献上品として重宝されました。当時の生産量は極めて限られており、製法は「一子相伝・門外不出」の秘法として厳重に管理されていたため、庶民が容易に口にすることは叶わない「幻の高級うどん」でした。
この門外不出の技法を正統に継承したのが、安政7年(1860年)に創業した「佐藤養助」です。明治時代以降、国内外の博覧会で数々の栄誉に輝いたことでその名は全国へと知れ渡り、現代でも熟練の職人たちが手作業による伝統の技を守り続けています。