つわりがない人に共通する最大の医学的特徴は、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)ホルモンに対する受容体(レセプター)の感受性が穏やかである点です。妊娠が成立すると胎盤からhCGが爆発的に分泌され、脳の嘔吐中枢や消化器官を刺激します。しかし、ホルモンの分泌量そのものは十分であっても、受容体が過敏に反応しない体質の人は、胃の不快感や吐き気を引き起こしにくくなります。
あわせて注目されるのが、自律神経の強さとバランスです。妊娠初期は急激な体内環境の変化によって交感神経と副交感神経のバランスが乱れやすく、これが血管の収縮や胃腸機能の低下を招きます。普段から自律神経の調整機能が高く、環境変化に対する生体ストレス耐性が強い人は、ホルモンバランスの乱高下があっても消化器系への影響を最小限に抑えられます。
さらに、肝臓の解毒・代謝機能がスムーズに働いている体質であることも挙げられます。ホルモンの代謝産物を効率よく処理できる体内環境が整っている妊婦ほど、つわり特有の倦怠感や吐き気を感じにくい傾向にあります。