この故事成語の読み方は、書き下し文では「桃李(とうり)もの言わざれども下(した)自(おのずか)ら蹊(みち)を成(な)す」と読み、四字熟語や漢文の表記としては「桃李不言下自成蹊(とうりふげんかじせいけい)」として親しまれています。
漢文における個々の語句を分解すると、次のような意味構造を持っています。
- 桃李(とうり):モモとスモモのこと。春に美しい花を咲かせ、甘くみずみずしい果実を実らせる樹木の象徴。
- もの言わざれども(不言):自ら声高に「見事な花が咲いた」「美味しい実がなった」と自己主張しないこと。
- 下自ら(下自):その樹木の下に、自然発生的に。
- 蹊を成す(成蹊):人がひっきりなしに踏み通うことで、「小道(こみち・抜け道)」ができること。
つまり、「モモやスモモの木は何も言わないが、美しい花と実を求めて人が集まるため、その根元には自然と小道ができる」という自然の情景描写を通じて、「真に徳と実力がある人物は、自ら宣伝や自慢をしなくても、その人格に惹かれた人々がおのずと集まり敬服する」という人間関係の真髄を説いています。