多くのファンが抱く最大の疑問は、「『ドラクエ12』以降、あるいはスピンオフや完全新作の音楽を誰が担うのか」というドラクエ音楽後継者をめぐる問題です。スクウェア・エニックスからの公式発表および業界内の動向から見えてくる選択肢は、大きく分けて以下の3つのアプローチに集約されます。
第1に、「すぎやま氏の愛弟子・オーケストラ編曲陣による継承」です。長年、交響組曲の編曲やコンサートの指揮を務めてきた服部隆之氏や、スピンオフ作品の劇伴に関わってきた作編曲家たちが、すぎやま氏の作曲作法やスコア(総譜)を最も深く理解しています。過去のモチーフを尊重しつつ、新規楽曲をオーケストレーションする手法は、映画音楽界(ジョン・ウィリアムズ氏のスタイルを継承するハリウッドの手法)でも標準的です。
第2に、「スクウェア・エニックス社内サウンドチームによる共同制作体制」です。『ファイナルファンタジー』シリーズが植松伸夫氏から複数の優秀なコンポーザー(祖堅正慶氏、浜渦正志氏ら)へ分業・継承されたのと同様に、単独の巨匠に依存するのではなく、プロジェクトチームとしてDQサウンドのトーン&マナーを維持する道です。
第3に、「既存のすぎやまモチーフを核にした再構成(ライブラリ活用)」です。ドラクエの楽曲群はすでに1,000曲近い膨大なアーカイブが存在します。これらをリマスター・アレンジし、要所要所に新録フレーズを差し込むことで、「すぎやまこういちの音」を永続的にブランドの根幹に据え続けることが可能です。