2026年の現代、炭酸水素ナトリウムは単なる理科の実験材料にとどまらない。地球温暖化対策の切り札として期待されるCCS(二酸化炭素回収・貯留)テクノロジーにおいて、重曹の化学反応サイクルが前例のない進化を遂げている。
工場や発電所の排ガスからCO₂を効率よく吸収させ、炭酸水素ナトリウムの形で一度固定化。その後、低温の再生プロセスによってCO₂を分離・回収するシステムが実用化フェーズに入った。さらに、炭酸水素塩を還元してギ酸やメチルアルコールなどの液体燃料に変換する電解触媒技術も急ピッチで進んでいる。かつて黒板の上で眺めた初歩的な化学反応式が、脱炭素社会を駆動するリアルなエンジニアリングへと姿を変えている。