ふくべ細工の「ふくべ(瓢)」とは、かんぴょうの原料となるウリ科の植物「夕顔(ゆうがお)」の実を指します。栃木県伝統工芸品ふくべ細工の歴史は古く、江戸時代の正徳年間に近江国(現在の滋賀県)から種子を取り寄せて栽培が始まったことが起源とされています。栃木県南部の肥沃な土壌と適度な気候が夕顔の栽培に適しており、全国シェアの9割以上を誇るかんぴょう生産の副産物・発展形として工芸技術が磨かれてきました。
かんぴょう用に果肉を帯状に削り取った後の芯に近い部分や、採種用に完熟させて硬くなった夕顔の実の中身をくり抜き、数ヶ月間天日干しにして乾燥させます。この乾燥した外皮は、木製よりも軽く、かつ陶器よりも割れにくいという優れた物理特性を持ちます。かつては炭入れや小物入れ、酒器などの実用品として重宝されていましたが、次第にその独特の風合いを活かしたふくべ細工魔除け面作り方へと進化し、厄除けや招福の縁起物として全国に広まりました。