横井英樹という人物を語る上で欠かせないのが、彼が率いた東洋海事工業の存在だ。繊維業で成り上がり、やがて株の買い占めや企業買収へと舵を切った彼は、まさに昭和の狂乱を生き抜いた異端児だった。
白木屋デパートの株買い占め事件をはじめ、当時の不動産業界や政財界を震撼させた強引な手法は、「乗っ取り屋」という悪名とともに語り継がれている。金と権力がすべてを支配すると信じて疑わなかった男。その苛烈な生き様は、身内に対しても容赦がなかった。
莫大な財産を築き上げる一方で、彼の周囲からは絶えず人が離れていった。成功の頂点に立ちながらも、常に背後の影におびえるような孤独。それが横井英樹の真の素顔だったのかもしれない。