現役時代、安打製造機として球界を席巻した技術の裏には、緻密な観察眼が存在する。和田氏の指導哲学は、決して自身の成功体験を押し付けないことだ。「10人の打者がいれば、適したスイングは10通りある」。この言葉が示す通り、選手の骨格や打撃癖を見極めた上での個小指導を徹底している。
まるで上質なスポーツドキュメンタリーの一幕を見ているかのような光景が、日々の練習風景には広がる。バッティングゲージの脇で数分間、黙って選手の打球を見つめた後、発せられる一言。それが不振に苦しむ若手の開眼のきっかけとなるケースは珍しくない。