柄本時生の私生活を語る際、避けて通れないのが柄本家の家族構成がもたらす無言の引力です。日本の演劇・映像文化の中核を担うこの一族は、一般的な芸能ファミリーとは一線を画す濃密な芸術的土壌を持っています。
父は紫綬褒章を受章した名優・柄本明、母は劇団東京乾電池を支え2018年に他界した名女優・角替和枝。長男は映画賞を総なめにする実力派俳優・柄本佑、その妻は日本アカデミー賞最優秀主演女優賞常連の安藤サクラ(父は奥田瑛二、母は安藤和津)。まさに日本映画界の頂点ともいえるサラブレッド一族です。
こうした環境に「嫁」として加わる心理的ハードルは、外部から想像する以上に過酷です。入来茉里自身もホリプロ所属の実力派女優でありながら、結婚当時は「柄本家に嫁いだ妻」というラベリングがメディアによって過剰に貼られることとなりました。家族全員が演劇と役作りに人生のすべてを注ぎ込む特異な環境において、自らのアイデンティティや表現活動との折り合いをつけることは容易ではありません。
現在の妻であるさとうほなみの場合、すでに「ゲスの極み乙女。」での鮮烈な音楽キャリアと、個人の女優としての確固たるポジションを自力で確立しています。家族の看板に左右されない強固なパブリックイメージと経済的・精神的自立を有していることが、柄本家という巨大な役者一族と向き合ううえでの強みとして作用していると考えられます。