近鉄百貨店が去った後の近鉄百貨店東大阪店跡地、すなわちヴェルノール布施の変遷にも注目する必要があります。2010年秋、百貨店撤退後の核テナントとして入居したのが「イオン布施駅前店」でした。百貨店時代の高級路線から、食品スーパーを中心とした実質的なディスカウント&デイリーライフ路線への転換は、庶民的な街柄である布施の日常需要に見事に合致しました。
ヴェルノール布施テナントには現在、100円ショップのダイソーやアパレル店、メディカルモール、東大阪市の市民プラザ(行政窓口・市民交流スペース)が共存しています。休日に訪れると、行政窓口を訪れる家族連れや、イオンで買い物袋を提げた高齢者の姿が絶えません。
地元で生まれ育った60代の女性住民は、当時の空気感と現在をこう振り返ります。
「ヴェルノールに近鉄百貨店ができたときは、わざわざミナミや上本町に行かなくてもブランドの服や贈答品が買えると誇らしかった。でも普段の買い物には少し敷居が高かったのも事実です。いまは駅のロンモールに近鉄の美味しいお菓子やお総菜があり、ヴェルノールにはイオンや市役所の出張所があって、結果的に今のほうがずっと暮らしやすくなりました」
布施駅商業施設全体を見渡すと、駅直結でデパ地下のクオリティを享受できるロンモールの近鉄百貨店、生活必需品を安価に揃えられるヴェルノール布施、そして駅南口・北口に広がる昔ながらの個人商店街が、見事な役割分担を形成している実態が浮き彫りになります。