稽古場の空気は、言葉を交わさずとも肌で感じるほど重い。伊勢ヶ濱部屋の看板を背負う力士たちと、旧宮城野部屋から移籍してきた若手たちが同じ土俵でしのぎを削る。指導陣のトップに立つ伊勢ヶ濱親方の厳格な指導のもと、元白鵬と元照ノ富士という二人の横綱経験者が揃う稽古場は、角界でも類を見ない超ハイレベルな環境へと変貌を遂げた。
「最初はぎこちなさがあったのは事実です。しかし、白鵬親方の教え方は圧倒的に具体的。相手の癖を見抜き、一瞬の引きや寄り足のタイミングを理論化して教える能力は群を抜いている」。そう明かすのは部屋の関係者だ。かつて敵として戦った照ノ富士春雄も、その指導力を認めざるを得ない。二人の元横綱が異なるアプローチで若手を鍛え上げるシナジーは、部屋全体の土俵上の結果となって表れ始めている。