歴史を振り返れば、リング上のドラマは常に強い「因縁」によって紡がれてきた。とりわけ象徴的なのが、棚橋弘至と内藤哲也の深い関係性だ。団体が未曾有の危機にあった時代に自らの背中で引き揚げた棚橋弘至。一方で、その棚橋への愛憎と反発をエネルギーに変え、制御不能なカリスマとして独自のスタイルを確立した内藤哲也。
ふたりの対峙は、単なる勝負を超えたひとつのドキュメンタリーと言える。技と技の応酬の中に、過去の言葉や互いへの感情が透けて見える。ロープ際での一瞬の間合い、一言の煽り、投げ技を打つ角度のすべてに意図が込められている。この因縁対決が放つ独特の緊張感は、プロレスというジャンルが持つ人間ドラマの真髄をファンに提示している。