だが、作品の奥底に触れると評価は一転する。開発を手掛けたヴァニラウェアと、その旗振り役である神谷盛治ディレクターの徹底的なこだわりは、他の追随を許さない。『オーディンスフィア』や『ドラゴンズクラウン』で見せた圧倒的な手描き2Dグラフィックの美学は、本作でも狂気的なまでの完成度で爆発している。夕暮れ時の教室に差し込む斜光、放課後に食べるソフトクリームの質感、雨上がりのアスファルトの濡れ具合まで、空気感そのものを画面に閉じ込めている。
神谷盛治氏が長年の構想を経て作り上げたこの極上の群像劇は、従来のゲームづくりの枠組みを完全に超越している。13人もの登場人物のストーリーラインが矛盾なく緻密に交差し、プレイヤーの選択によって開示される情報順序が変わるにもかかわらず、最終的に一つの巨大な真実へと結集する。この神業とも言えるシナリオビルディングは、職人集団としてのヴァニラウェアの執念が結実した最高傑作と呼ぶにふさわしい。