一般的に知られる「雀のお宿」のあらすじは、怪我をした雀を手厚く介抱した心優しいおじいさんが、雀から案内されて山奥の「お宿」を訪ね、歓待を受けるという筋書きです。帰り際に「大きい葛籠(つづら)」と「小さい葛籠」のどちらかを選ぶよう言われたおじいさんは、欲張らずに小さい方を選び、中からたくさんの小判や財宝が出てきます。
一方、欲の皮が突っ張った隣のおばあさんは、おじいさんの真似をして雀の舌を切り落とし、無理やりお宿へ押しかけて大きな葛籠を奪うように持ち帰ります。しかし、待ちきれずに道中で蓋を開けると、中から蛇や百足、鬼といった妖怪変化が現れて腰を抜かすという展開です。
では、「雀のお宿」と「舌切り雀」は何が違うのでしょうか。実質的な物語の骨格は同一ですが、タイトルの違いは主に児童文学としての配慮や出版時期に由来します。明治期以降、教育的な観点から「舌切り」という直接的でショッキングな言葉を避け、雀たちの住処やもてなしの場に焦点を当てた「雀のお宿」という表記が広く普及していきました。