国土交通省が公表する建築着工統計を見ても、居住面積の適正化とバリアフリー性を両立した平屋住宅の着工比率は過去10年で右肩上がりの推移を維持している。とりわけ20代後半から30代の一次取得層による注文住宅の現場では、2階建てを前提としない設計相談が日常茶飯事となった。
「階段の昇り降りに費やすエネルギーを、家族の団らんや効率的な収納に振り向けたい」。首都圏郊外に家を建てたある共働き夫婦はそう打ち明ける。ロボット掃除機一台で家中を清掃しきれる効率性、どこにいても子供の気配がわかる心理的安全性。家事の省力化を求める現代人にとって、上下移動の排除は劇的な生活の質の向上を意味している。