「あのフレーズが降りてきたのは、深夜の首都高を走っている時だった」——。当時を知るレコーディングスタッフは懐かしそうに語る。ボーカルの玉置浩二にとって、愛車を走らせる時間は自分自身と向き合い、内なるメロディを解き放つ儀式のようなものだった。車の窓を少しだけ開け、夜風を感じながら口ずさんだフレーズが、のちに日本中を酔わせたあの大ヒット曲へと昇華したという。
スタジオの密室では生まれ得なかった、生々しい感情とリアルなグルーヴ。ハンドルを通じて伝わる路面の感触や、車内に響くタイヤのシークエンスが、彼の天才的なリズム感をさらに刺激したことは間違いない。愛車の中で録音された手元のカセットテープには、未完成のまま眠る幻のデモ音源が今も残されているという。