乳幼児発達学・育児の専門知見に目を向けると、抱っこ紐の長期使用には身体発育面での功罪が存在する。日本小児科学会の専門医らは、乳幼児期の運動機能発達において、自発的な歩行や段差の昇降を通じて下肢筋力と平衡感覚を養うプロセスの重要性を指摘する。
親の身体保護という観点からも放置できない問題がある。10kgを超える幼児を長時間前抱っこする姿勢は、骨盤の後傾と腰椎の過前弯を引き起こし、重篤な椎間板ストレスを招く。子どもの「抱っこしてほしい」という愛着要求に応えることは重要だが、それを従来の布製抱っこ紐だけで受け止め続けることは、親の健康寿命を削る選択になりかねない。運動発達の促進と親の身体保護を両立させるためには、成長段階に合わせた道具の最適化が不可欠となる。