「左ヒラメに右カレイ」というルールには、生物学的な例外が存在します。その代表例が、日本近海や北太平洋の汽水域・淡水域にも進入する「ヌマガレイ(カワガレイ)」です。ヌマガレイはカレイ科に属していながら、日本沿岸に生息する個体の約7割以上が左側に目を持つという特異な性質を持っています。北米沿岸ではこの比率が約50%になるなど、地域によって変異が見られます。
また、世界中に分布するヒラメ科・カレイ科の魚類を見渡すと、熱帯性のボウズガレイのように右側にも左側にも目が位置する種や、幼魚期から成魚になる過程での目の移動方向が個体差によって異なるケースも確認されています。したがって、目の位置だけで判断するのではなく、前述した口元の形状や体表の側線、鱗の粗さなどを総合的に観察することが重要です。