作中の地球屋は、急傾斜地に建てられた独特のスキップフロア構造を持っています。この立体的な空間設計こそが、物語のドラマ性を高める重要な演出装置となっていました。
道路に面した正面入口から入ると、そこは「地球屋の2階」にあたります。店内には古時計や鉱石、木彫りの人形、アンティーク家具が所狭しと並び、奥には柔らかな光が差し込むベランダと喫茶スペースが配置されています。雫が初めて足を踏み入れた瞬間に感じた異世界のような静けさは、美術監督の黒田聡氏や背景画を手がけた画家・井上直久氏(イバラードの世界観)のエッセンスが見事に融合した結果です。
そして、階段を降りた「1階(半地下フロア)」には、天沢聖司がバイオリン職人を目指して修行を重ねる本格的なバイオリン工房が広がっています。削りかけの木材、散乱するカンナやノミ、ニスの瓶、壁に掛けられた図面に至るまで、職人の息遣いが伝わる緻密な描写がなされています。雫、聖司、そして店主であるおじいさん(西司朗)が名曲『カントリー・ロード』を合奏する名シーンは、この1階工房のテラス側で繰り広げられました。